今年も早いもので、あと2ヶ月足らずで2022年が終わろうとしている。歳を取るごとに月日が過ぎるのが早く感じる。なかなか自分が歳をとってることを認めたくない私だが、否応無しに歳を感じることも増えてきた。
さて、ちょっと早いが2022年を振り返りながら、来年2023年のアトツギがどうしていくべきかを考えてみたいと思う。
お忘れの方も多いかもしれないが、今年2022年は寅年だった。寅年は「千里を走る」という格言がある。これは躍進というよりも、政治・経済で波乱が起こりやすいという意味で解釈される。確かにロシアによるウクライナ侵攻、世界的なインフレ、急激な円安などなど、今年は急激な世界経済の後退の要素が駆け巡った。
しかし、同時に、新型コロナウイルスに対抗するワクチンや特効薬なども出揃ってきたことやウイルスそのものの毒性が弱まってきて、2020年2021年の様なロックダウンというのも減ってきた。それに伴い、2022年は後半は特に行動制限もほとんど解除され、普通の経済が復活し始めた。まだ中国がゼロコロナ政策で世界に羽ばたいていないため、中国人によるインバウンドや中国自体の経済が伸び悩んだりしており、まだ100%経済が回復した訳ではないが、それでも、だいぶ、普通の経済に回復してきた。
こう考えると、来年はコロナによる行動制限もあまり意識する必要は無く、普通の経済活動がほぼほぼできるようになるのではないかと思う。
中国も習近平主席が3期目に入り、体制を盤石にしていけば、来年は行動制限も徐々に緩和されていくのではないかと私は思っている。そうなると、徐々に中国人も海外旅行や海外出張なども増えてくるだろう。
一方で、ロシアからのエネルギーを自ら輸入規制しているヨーロッパ、特にドイツなどは、エネルギー不足に陥っており、それが原因でインフレが起こっている。また、世界的な物資不足からアメリカでも異常なインフレが起きてる。
これを退治する為に各国の中央銀行はリセッション覚悟で金利を大幅に上げている。日本は金利を上げられない、上げないから、金利差により急激な円安が起きている。
この様なことを考えると、来年もこのインフレが続くのか?ヨーロッパのエネルギー不足にどう対処するのか?中国のゼロコロナ政策が緩和されるのかなどが来年の経済景気を考える上で重要な要素となるだろ。
また、国内に目を向けてみると、新型コロナウイルス対策として政府が打ち出していたゼロ融資や助成金などが切れてしまい、倒産する中小企業も出てくるだろう。円安により輸入がメインの会社もかなりきついのではないだろうか。ただ、日本は加工貿易がGDPの多くを占めており、円安は輸出にはメリットが大きい。車業界などはイノベーションのジレンマに長期的には陥っているが、短期的には過去最高益を弾き出してもおかしくない。
この様に、明暗がハッキリし、まだら模様の景気が来年は続くと思われるが、段々と普通の経済に戻っていき、日本経済も短期的には落ち着いてくるはずだ。
円安も150円というラインを日銀や財務省があからさまに意識してることが介入で分かったことやアメリカの利上げ幅やスピードが予測できる範囲に収まってきたことなどから、今がここ数年の円安では最安値付近ではないかと私は思っている。但し、アメリカのインフレがこれ以上FRBの予想より高くなってしまった場合は、この限りではない。再び、予想を超えるFRBのリセッション覚悟の金利上昇が始まり、更なる円安になる可能性が高くなる。なので、この辺は、経済ニュースを常にチェックし、気を付けておかなければならないだろう。
そう考えたときにアトツギがやらないといけないことは、大きく言って3つ。
1つ目は、経済が落ち着いてくるまで当たり前のことを当たり前にやる。これを全社員がいかにして徹底できるか?
2つ目は、経済混乱してる間に、人の教育を徹底すること。
3つ目は、新商品なり新サービスなり新規事業なり、新しいことを始める準備をすること。
コロナを機に世の中は大きく変わった、1番分かりやすいのが、打ち合わせにわざわざ赴くことが激減したことだ。
例えば、私なんかも95%ほどの打ち合わせがzoomなどで事足りている。むしろ、zoomなどとのテレカンでやった方が、やりやすいことも多い。
確かに、世間話しするなどの時間が減ってしまうので、仲良くなるにはやはり対面で話した方が良いかもしれないが、そもそも対面でもそんなに仲良くなるような相手じゃなければ、テレカンの方が用件だけ話して終われるので楽だ。
例えば、打ち合わせのことを考えただけでもこれだけ世の中が変わった。
だからこそ、当たり前のことを当たり前にやることがより重要になる。当たり前の事を当たり前にやっているかどうかが目につくようになるのだ。
世の中が変化していくときは、変わるべき所と変わってはいけない所がそれぞれハッキリするようになる。
例えば、打ち合わせがテレカンで行われるようになればなるほど、メールや打ち合わせ中の言葉遣いや挨拶など、基本中の基本が当たり前のこととしてキチンとやれてるかと見る人は見ている。
ちょっと事例が分かりづらかったかもしれないので、事例を変えると、例えば、あなたがパン屋さんを経営してるとしよう。
昨今の小麦粉の値上がり、電気代やガス代の高騰などを考え、その分のコスト向上を吸収できる売れ筋商品の派生商品で新しい商品打ち出し、徐々にその新しい商品をメイン商品として置き換えていくことに成功したとしよう。
しかし、その一方で、お店の掃除や接客、お店の雰囲気作りなど、当たり前にやらなきゃいけないことを当たり前にできてなかったとしたら、どうだろうか?
当然のことながら、売上はジリ貧となり、徐々に会社の資金繰りを圧迫するようになる。
そうなれば、パン屋さんを維持することが難しくなり、最終的にはパン屋さんを閉めないといけなくなるかもしれない。
ちょっと大げさに分かりやすく書きすぎたかもしれないが、そう言うことだ。
当たり前の事を毎日やることが重要なのは誰しもが分かっている。しかし、いろんな理由をつけて、それをやらない人間がとにかく多い。そう考えると、当たり前を当たり前にできることが他店、他社との差別化に繫がるのだ。
人は変化する事が基本的には嫌いだ。保守的で毎日のルーティンが変わらないことを好む。しかし、昔から生き残っていくのは強いものではなく、変化に対応できるものが生き残っていくのだ。これは自然の摂理だ。生物でもそうだ。恐竜みたいな強い生き物が今、世の中に存在しないのは、急激な環境の変化についていけなかったからだ。
祇園精舎の鐘の声、
諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、
盛者必衰の理をあらは(わ)す。
おごれる人も久しからず、
唯春の夜の夢のごとし。
たけき者も遂にはほろびぬ、
偏に風の前の塵に同じ。
口語訳
祇園精舎の鐘の音には、諸行無常すなわちこの世のすべての現象は絶えず変化していくものだという響きがある。
沙羅双樹の花の色は、どんなに勢いが盛んな者も必ず衰えるものであるという道理をあらわしている。
世に栄え得意になっている者も、その栄えはずっとは続かず、春の夜の夢のようである。
勢い盛んではげしい者も、結局は滅び去り、まるで風に吹き飛ばされる塵と同じようである。
千年前に書かれたこの文章が私は大好きだ。千年前から強いものではなく、変化に対応できるものが生き残るんだと教えられている。
この自然の摂理に逆らって変化に抗うものは生き残ることができない。どんなに大きくなり、権力を意のままに収めようとも、変化に対応できなければ、春の夜の夢となるのだ。
このことを考えるときに、トップは割とすんなり変化に対応できる人が多いのだが、そうじゃない人達は、変化を嫌い、変化に抗う人も少なくない。
よって、新規事業を始めるのに当たって必要なスキルを勉強させることと同時に、変化に対応することが可能な意識改革を行う必要があるのだ。
最後に、これだけの円安になったら、海外でのビジネスは必須と言ってもいいだろう。新規ビジネスと言っても海外に販路拡大することが重要だ。コロナが落ち着いてきた(落ち着いて無くてもロックダウンはもうやらない国が多いと思われる)今、海外に販路を拡大するのは大チャンスだ!
今の若者はオーストラリアなどにワーホリで行って出稼ぎをしている。そして、自分の夢を達成させるためにAUドルなどでお金を貯めている。例えば、とある若い女性は、ウエイトレスなどを掛け持ちでやって、日本円に換算すると、月々の稼ぎが80万円ぐらいになり、そのうち40万円位を貯金している。
今の日本でこんなことは到底無理だ。そう考えると、アトツギは、どう考えても海外への販路拡大が必須となる。
円安が仮に落ち着いたとしても、政府がこれだけ中途半端で且つ高度経済成長期やバブル時代の成功体験にしがみつき、GDPのパイを増やそうとする経済政策をしている限り、日本の経済は本当には回復しない。だって、GDPのパイを増やすには、人口が増えることが絶対条件なのだから。だから、今後の日本政府は、1人あたりGDPを世界1にすること(個人的にはこれに幸福度ランキング世界1も目指してい欲しいが)を目標にし、それに対応した政策をやらなければ、焼け石に水だ。
そう考えると、やはり海外に販路を拡大するしかない。例えば、ロケット開発のように、日本に地の利がかなりあり、世界からお客さんを集められるようなビジネスならば、わざわざ海外進出する必要も無いだろう。
だがしかし、ほとんどのアトツギは、日本国内でやっていても細々と会社を何とか維持するだけになってしまい、スタッフの給料を上げたり、夢や目標を達成したりすることは難しいのではないだろうか。
日本国内はどんどん人口が減り、6000万人ぐらいしか人がいなくなる。しかし、世界を見ると、80億人の見込客がいるわけだ。どっちの方が可能性があるか、言わなくても分かるだろう。
これからのアトツギは、海外進出は必須。海外に出て世界を相手に闘う。そんな姿勢が必要になる。