経営コンサルタントとしてのデビューが決まると、まずは上司と同行して私が中心になってコンサルティングを行い、後日、上司からフィードバックを得るという日がしばらく続いた。
その中で、自分の得意分野を見出す、あるいは、発揮することによって、その分野担当のコンサルタントとして売り出していくことになっていた。
私は、マーケティングとITが得意だったので、この2つを得意分野として売り出していくことにした。
エリア担当と分野担当があり、エリア担当はオフィスの拠点が決まることで自動的にそのエリア担当となる。
私は、北九州オフィス配属になり北九州エリア担当となった。
担当となったクライアントは、ヘアーサロン、エステサロン、飲食店が多かった。
法人規模は小さく、夫婦2人でやられてるお店から大きくても30人強ぐらいのお店だった。1社だけ150人規模の業務用サニタリー用品の卸会社を担当した。
まずは担当になった会社やお店の財務分析、マーケティング分析を行い、現状把握と今後の闘い方について検討した。
この辺りから、社内でも社外でも2代目だからダメだ!、とか、2代目ゴマすりとかが出始めたような気がする。
私が担当したとあるクライアントで、マーケティングとITわ組み合わせ、新規客約30%、リピート客7%、売上117%という数字を出したことがある。
この時は、まだいわゆるガラケーでネットPC中心に普及し始めたぐらいの頃だった。そう言うときに、メールにクーポン付けたり、リピート客には今で言うレコメンドしたりして、ITとマーケティングを組み合わせて結果を出した。
今までに無い手法でやったため、社内で目立ち、次の会議の時に具体的事例として弊社の業績検討会でプレゼンすることになった。
プレゼン資料を作るのは苦手だったが、がんばって資料を作成し、プレゼンの練習をし会議当日に挑んだ。
当日の会議には、副社長をはじめ、別エリア担当のチーフやマネージャなども出席していた。
プレゼンがなんとか終わり、質疑応答で色々聞かれ、一つ一つ丁寧に答えていった。
そして、もうこれ以上は質問は出ないかなぐらいになったときに、別エリアのマネージャーが口を開いた。
「やっぱ会長(先代のこと)は凄いよね!こんだけのの次世代の仕掛けが分かってるんだもん!」
え?この案件は私が担当で、私が自分で考え、私がプログラミングもして、私がクライアントに分析~施策の提案までして私がクライアントと一緒に実行に移して私がクライアントと共に結果を出したのですが?と、心の中で叫んだ。
ん???どういうこと???
その時、気付きました。私がどんなに頑張って手柄を取っても、手柄は全て先代のものになるんだ、と。
私は頑張っても頑張っても評価されることは無いんだと。
そして、上司達にとって都合の良いときは私は2代目で、都合が悪いときは派閥争いの道具なんだと。
この頃から2代目を辞めたい=会社を辞めたいと思うようになったのだった。
また、そう思ってる時にとあるクライアントの社長から、
「お父さんが早く死なないかなぁって思ったりするやろう」
と、言われたのです。ホント、心の中でぶん殴ってやろうかと思いましたが、そこは大人。苦笑いしてその場を去った。
社長にしてみれば冗談で言ったのでしょうが、私は私をそういう風に見てるのかぁとつくづく2代目がいやになった。
この日から何とか会社を辞めて、2代目から卒業したいと思うようになったのだった。