2代目・後継者が社長、代表になったとき、当然、いろんな人に気持ちよく動いてもらわなければなりません。しかし、2代目・後継者が社長、代表になって初めて人を動かす勉強をしても間に合いません。当然のことながら、2代目・後継者が入社してから即、勉強を始める必要があるでしょうし、社長や代表じゃなくてもビジネスの現場では、人を動かさないといけないシーンというのはしょっちゅうあるでしょう。
経営の神様と言われる現パナソニック株式会社の創業者である松下幸之助は、体が弱く、人に仕事をお願いしないといけない事も多く、それが故に人を動かすのが上手だったと言われています。
自分1人で動く事もありますが、組織では人に動いてもらわなければならないことも多いかと思います。
自社のスタッフだけでなく、取引先の方や行政の方、その他ステークホルダーとなる人達には、自分の代わりに動いてもらわないといけないシーンが出てきます。そういう時に、気持ちよく快く動いてもらうようにしなければなりません。
人は、簡単には動いてはくれません。では、どうすれば動いてもらえるのでしょうか?人を動かすためノウハウが書かれた本があります。
「人を動かす」著D・カーネギー
この中で、D・カーネギーは、人を動かす原則としてまずは以下の3つを上げています。
① 盗人にも五分の理を認める ② 重要感を持たせる ③ 人の立場に身を置く
①盗人にも五分の理を認めるは、例えば、部下が失敗をしても全てを部下のせいにするのではなく、何で失敗したのかを一緒に考え分析し、良かった点は褒めて問題点だけに絞り込んで、対策を打つ。こういうやり方が1つ事例として考えられるかと思います。私もこのやり方を試したことがあります。本のように100%思い通りにとは行きませんでしたが、部下のモチベーションが下がる事があまりなく、次の成功につながった経験があります。
②重要感を持たせるは、例えば、1年生の教育に使うことがよくあります。1年生の教育の時に、お客さんから見たら「あなたが」うちの会社の代表として話しをするのだから、あなたの身だしなみ、しゃべり方、マナーなどを見て、うちの会社のレベルを推し量るんだよ!だから、うちの会社及びうちの会社の他のスタッフのレベルをあなたが高めていく必要があるんだ!と。こういう言い方をするとプレッシャーに感じる部分もありますが、あなたの能力が、とか、スキルや実績が、とは言っていません。あなたの身だしなみ、しゃべり方、マナーなどを見て、うちの会社のレベルを推し量るんだよ!という言い方しかしていません。つまり、1年生が社会人として当たりまえのことができればいいだけの話しなんですね。こういう言い方をすることによって、本人に重要感を持たせてモチベーションを高めさせることができました。
③人の立場に身を置くは、これは営業であれば誰でもやっていることかとは思います。商売において、お客様が何を求めておられるのか?お客様の立場に自分を置き換えてみて、お客様の目線で物事を見ていけば、必ず、結果が出るのではないでしょうか。私がまだ新人と呼ばれる頃のことでした。当時の私の直の上司ではなく、役付きの上司に対する話しなのですが、私がどうしても早く承認がほしい案件がありました。しかし、直の上司の承認→役付きの上司承認を待っていると、1週間は簡単に過ぎるだろうなぁと予測されました。そこで、私は、役付きの上司がどうすれば直ぐに決済をくれるかを考えてみました。その役付きの上司は、社会的承認の欲求が強く、お膳立てされて人の前に出ることを好む性格でした。まぁ、私から見たら上司なので、その点は問題ないわけです。手柄を持っていかれないように注意はしなければいけませんでしたが。そこで、案件の中にその役付きの上司の講演をコンテンツに盛り込んだのです。元来であれば、講演は必要ありませんでした。しかし、私はこの案件の決済をなるはやで欲しかったので、役付きの上司が何をしたいのか?どう部下からお膳立てされたら喜ぶのか?を考えてこの講演をコンテンツに盛り込んだのです。もちろん、お客様にとっても講演の内容はメリットがある内容でしたので、Win-WInかなと考えたわけです。結果、3日ほどで決済がもらえ、役付き上司には講演をしていただき、結果、お客様にも喜んで頂けました。
この様に「人を動かす」ことは、2代目・後継者にとってとても重要なことであり、必ず、身につけなければならないスキルの1つです。しかし、トップに立ってから頑張って勉強しても少し遅いような気がします。なので、日頃からどうすれば、人が動いてくれるのか?考え、行動してみて経験を積むことがとても大切なことです。